国の病患というものを根本的にえぐり出す大手術をしなくてはいけない。まかりまちがえば片足を失うほどの大手術をして、病根を摘出する必要がある。大手術というものは、いろんな点において痛さがともなう。お互いの体の手術でも、いかに今日医術が進み、麻酔もあるといっても、全然痛さもなんの苦痛も感ぜずしてはできないだろう。まして国家という大きな活動体の大手術である。個人の手術とはくらべものにならないほどの苦痛を、全国民がそれぞれの立場に応じて受けなくてはならない。それを受ける覚悟がお互いにできているかどうか。
『崩れゆく日本をどう救うか』(1974)