日本の国が、立派な日本人を育てていこう、立派な国民を育てていこうと考えても、国そのものに国家経営の理念というものが曖昧模糊としておれば、やはり国民は立派に育っていかない。みんな自己中心的になり、ばらばらになってしまうのではないかと思うのです。いま、日本に国家経営の基本理念というものがありますかどうか。憲法はありますけれども、憲法だけではたして足りるかどうかということを考えてみるとき、やはり、現在の日本には、旗印というか、国家経営の基本方針というものが必要なのではないかと思うのです。
『一日本人としての私のねがい』(1968)