何百年、何千年の昔からそうであったであろうように、これからも年々いくつかの台風が日本を襲うことはずっと続くにちがいない。それはいわば、日本人としての宿命のようなものであろう。だとすれば、その宿命は甘んじて受けなくてはいけない。いたずらに台風を恐れ、それが来ないように願うというのでなく、台風は当然来るものだという覚悟をきめ、それに対する万全の備えをしなくてはならない。と同時に、大事なことは、さらに一歩進んでこれを活用する方法を考えることだと思う。そこに一つの発想の転換が必要なのではないだろうか。
『新国土創成論』(1976)