本コラムでは、松下幸之助をはじめとする日本の名経営者・実業家の考え方やことばを紹介しながら、リーダーとして心得ておきたい経営の知恵を解説します。

 

<真の経営者とは> 女性からの視点

女性起業家が新しい分野を開拓

 世の中の半分は女性であるにもかかわらず、これまでビジネス社会においては、女性の活躍する場はきわめて限られていた。ところが、近年、女性の進出とその活躍ぶりが目立ってきている。

 

 帝国データバンクが毎年行なっている調査によれば、平成十八年現在、全国一一五万三四三三社のうち、女性が社長の座に就いている企業は、その五・七三パーセントにあたる六万六一二二社で、調査が始まった昭和五十三年以降、最も多かったという。つまり社長の一七人に一人は女性だということである。

 

 これは、上場企業では、依然、男性優位が続いているとはいうものの、女性のビジネス社会への進出が確実に進んでいることを物語っている。

 

 そして、そうしたなかでも、みずから会社をつくるといった女性“起業家”が数多く現われてきており、その参入分野の特徴としては、主婦の目、生活者としての体験など、女性ならではの発想から生まれた生活密着型の事業が多い。既成の企業が気づかなかったり、あるいは気づいていても採算が合わないと放擲していた、いわゆるニッチ(隙間)と呼ばれる分野などで、新しいビジネスを開発、開拓し、大いに気を吐いている姿が見られる。

 

 したがって、とくに消費者密着型の企業では、そうした女性起業家の発想に学び、その手法を分析することも必要かつ意味のあることであろう。分けても、これからますます女性が消費の中心になっていくと予想されることを考えれば、女性起業家の発想にかぎらず、女性の知恵を活用し、女性に喜ばれる商品、サービスを提供していくことは、今後の企業の存続、発展には必要欠くべからざる戦略となろう。

 

男女の別なくそれぞれの持ち味を

 しかし、そのように女性経営者の活躍にはめざましいものがあり、学ぶべき点も多いが、こと経営に関していえば、男性だからどう、女性だからこうといったことはいうべきではないのではないか。経営者として成功する要諦は、男性も女性もなく、それぞれの持ち味を十二分に発揮して、消費者、世の人々が欲している価値ある商品なりサービスを提供することに尽きよう。

 

 それには、時代を見通す目が要る。顧客がどんな商品、サービスを欲しているかを第一に考える姿勢もなくてはならない。つねに顧客の声に耳を傾け、商機、タイミングをうまくとらえることも必要であろう。それは男性、女性の別なく、まただれでも実行できることであり、事業に対するどれほどの熱意、志があるかどうかによるといってよいのではなかろうか。

 

◆『部下のやる気に火をつける! リーダーの心得ハンドブック』から一部抜粋、編集

 

筆者

佐藤悌二郎(PHP研究所専務取締役)

 

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