財務、税務、人事、労務、事業承継......中小企業では、様々な分野の経営課題をすべて経営者が引き受けなければならないことも多い。そんな時、経営者の立場に立って問題解決をサポートしてくれる専門家集団があれば、心強い。TOMAコンサルタンツグループは、みずから「お客様の手本になる経営」を実践し、中小企業の経営課題にワンストップで応えることを旨とする。その原点にある理念とは何か。それをいかに継承しているのか。創業者から事業を引き継いだ市原和洋社長(グループ代表、「松下幸之助経営塾」卒塾生)に聞いた。

"みんなの会社"を掲げ、社員・顧客との共栄を追求(前編) からのつづき

経営セミナー松下幸之助経営塾

<実践! 幸之助哲学>
経営理念の実践で強みを発揮するコンサルティングファーム――後編

「月額顧問料1ヶ月分をご返却します」

市原さんは、ちょうどグループ代表に就任する前後にかけて、松下幸之助経営塾・第十四期に参加している。経営理念の重要性は熟知している市原さんだったが、「あらためてTOMAの歴史と理念を見つめ直し、TOMAのこれからと、自分のリーダーシップのあり方を考える契機になりました」と述懐する。

TOMAの経営理念は、「『明るく・楽しく・元気に・前向き』なTOMAコンサルタンツグループは本物の一流専門家集団として 社員・家族とお客様と共に成長・発展し 共に幸せになり 共に地球に貢献します」というものだ。

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これを掲げるだけでは、何も変わらない。日常の仕事の中で、理念がどう実践されているかが問われることになる。

TOMAでは、経営理念にもとづいてお客様に提供する価値をリストアップし、それぞれの項目について「お客様へのお約束」(宣言文)として明記している。加えて、それぞれの「お約束」について、「日々実践する事柄」として具体的な仕事の内容や、業務に向き合う姿勢についても開示している。理念を単なる〝飾り物〟にしておくのではなく、全社員が共有する価値観として、本気で実現しようとする意志が伝わってくる。

その徹底方法もシビアだ。例えばお客様向けのセミナーを開催したとする。毎回アンケートを実施し、その冒頭には「講師は明るく元気前向きでしたか」という質問項目を入れている。「明るく・楽しく・元気に・前向き」かどうかの判断基準は、多分に社員本人の主観的要素に左右されそうなものだが、お客様アンケートを取り入れることで、「お客様が実際にそう感じること」を客観的な尺度とすることができる。

また、顧問契約を結ぶ際も、「明るく元気な挨拶や電話対応」ができなかった場合は、その月の「月額顧問料1ヶ月分」を返却する旨まで契約書に明記されているのである。ここまで徹底するからこそ、社内に対してもお客様に対しても、経営理念と真摯に向き合っていること、この理念を本気で体現しようとしていることが伝わるのかもしれない。

ただ、藤間さんと市原さんはタイプも全く違えば、創業者と、社員から選ばれた立場という背景も異なる。目指すところは一致していても、そのやり方や道筋はおのずと異なってくるだろう。

低迷期に「原因はわれにあり」と気づいて以来、「任せる経営」を目標に取り組んできた藤間さんは、社史のインタビューで、「社員を信じて任せる。そうして人が育てば、会社は社長の器以上のものになると確信」していると述べている。そして、市原さんに関しては、「(一人で決めるのではなく)みんなを巻き込むのがとにかくうまい。徹底的に社員の意見を聴く。私にはできなかったことです」と、そのマネジメントのスタイルを高く評価している。

一方の市原さんは、こんなふうに見ている。

「藤間は発信力が強いのでワンマンの印象を与えるかもしれませんが、ある時期からは、無理に自分の意見を通すことはなくなり、物事はみんなで議論して決めてきました。今は完全に任されていますし、みんなで経営しているという感覚です」

創業家が一〇〇パーセント持っていた株式も、現在では半分以上を経営のボードメンバー(役員)で保有するかたちになっている。藤間さんも対等なメンバーの一員という位置づけだ。形式的にも実質的にも、「藤間の会社からみんなの会社へ」が達成されたといえるだろう。

「創業の精神」に立ち返る

経営塾の学びを通して、市原さんがあらためて思い至ったのは、「TOMAらしさ」をさらに深めていくべきであること。そして、TOMAの「創業の精神」に立ち返ることだった。

TOMAの創業精神とは、「逆境に負けない力強さ」「リスクを恐れず常に挑戦と革新をし続ける」「チームで成果を上げ、チームで喜びを分かち合う」などである。

これまでは藤間さんが中心となり、強力にその特色を打ち出すことでTOMAは成長してきた。しかし、これからは「社員一人ひとりが主役となって、それぞれが自分の役割を自覚し、責任を持って行動する自律した組織になる必要がある」と市原さんは考えている。

「みんなの会社」といえば聞こえはいいが、それがきちんと機能するためには、単に言われたことをやればいいというサラリーマン意識を乗り越え、「みんな」が当事者であるという自覚が求められる。

TOMAには、藤間さんが、誰もやったことのないことでも躊躇せず思い切って飛び込んで新たなビジネス分野を切り開いてきたという歴史がある。

「二代目になっても、今までの例にならうだけではなく、新しい何かを生み出していくことが必要です。前例のないことに挑戦するのには、やはり怖さもあります。しかし、失敗を恐れるのでなく、それこそ経営理念に謳っている通り『明るく・楽しく・元気に・前向き』にとらえる。この社風を大切にしていきたい」と市原さん。

誰かの個性に頼る経営から、「みんな」で担う経営へ。その土壌を育むことが、さらにその先の世代に引き継ぐ際にも重要になると市原さんは考えている。

松下幸之助経営塾資料

真のワンストップサービスに向かって

「TOMAらしさ」という点では、他の会計事務所にはないTOMAの強みが「ワンストップサービス」である。幅広い分野の専門家を擁するTOMAでは、経営のあらゆる悩みや困りごとに、グループ内で連携してスピーディに対応することを旨としてきた。

独立した専門家が他の分野の専門家とアライアンス(提携)を結んでクライアントにトータルなサービスを提供するというケースは、決してめずらしい話ではない。世間では普通、これを「ワンストップサービス」と称している。

だが、市原さんは「TOMAのワンストップサービスは、単なるアライアンスではない」という。

「税務や財務、労務など、複数の経営課題を抱えるお客様に対して、窓口が一本化されることで利便性を高めるだけなら、一般的なワンストップサービスと変わりません。TOMAの真の強みは、それぞれの専門家が価値観を共有した信頼関係で結ばれているという点です。単に高度な専門性を有しているというだけではない。同じ方向を向いた専門家が連携してチームコンサルティングを行なうのです」

専門家が専門家としての立場だけでサービスを提供するのでは、たとえアライアンスによって窓口が一本化されていても、経営者にとっては「便利だ」という以上の付加価値は感じられない。

利便性にとどまることなく、顧問先の会社がさらに発展していくためには何が必要なのか、あるいは会社の成長を阻害している要因は何かなど、お客様自身がまだ気づいていない課題を発見し、解決に向けたアクションを起こしていくこと。そうした積極的・能動的な総合コンサルティングを提供できるのが、TOMAのワンストップサービスの強みなのである。

その背後には、お客様の会社の真の発展を見据え、目先の問題解決だけではなく、根本的な経営改革によって正しい企業のあり方で事業を継続してもらいたいというTOMAの願いが込められている。TOMAは、まさに顧問先企業のお手本になろうと決意していることを、市原さんの姿勢は物語っているのではないだろうか。

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