本コーナー第6回でご紹介したビラの配布活動ののち、PHP研究所が力を入れたのは、ポスター(写真)の貼付活動でした。このポスターは、大きさが54センチ×19センチで、下段の広告を載せた企業が作成費を負担し、昭和24(1949)年4月から翌25(1950)年3月末までに合計9万枚が印刷されています(※1)。
活動は、昭和24(1949)年4月、大阪市内で約4,000枚を貼付することから始められました。最初の主力となったのは、2人の学生アルバイトです。彼らは同年3月31日にPHP友の会本部に出勤して説明を受け、翌日から活動区域を定めて商店や官公庁に飛び込みで訪問、許可がもらえればその場で貼付していきました。
訪問先の反応としては、学校、税務署、労働基準監督署、消防署など公的機関は概して協力的であり、「素直な心になりましょう」という言葉を見て、ほとんどの警察署長は、ぜひ拘置所に貼りたいと言ったということです。一方、商店街はどこもあまり協力的ではなかったと記録されています。
事前の予想より多くの方々の理解が得られたこともあり、翌5月から所員によって全国で貼付活動が展開されたようです(※2)。昭和25(1950)年4月には「PHP標語(2)」として「信頼しあいましょう」(※3)、昭和27(1952)年7月には「喜ばれる売場にいたしましょう」(※4)というポスターが作成されました。
1)『PHP』誌第36号(昭和25〔1950〕年4月発行)65頁。
2)たとえば『PHP』誌第31号(昭和24〔1949〕年10月発行)記載の「PHPのうごき」欄で、所員が地方へ出張した旨が記載されていますが、具体的な行動については不明です。
3)『PHP』誌第36号65頁。枚数は不明。
4)『PHP』誌第58号(昭和27〔1952〕年8月発行)32頁。枚数は不明。