Q109:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

昭和33(1958)年9月、松下電器に炊飯器事業部が設立されました。そのきっかけとなった出来事は何でしょうか?

(1)炊飯器が爆発的に売れ、業容が急拡大した

(2)炊飯器に不良が続出し、大きな損失を出した

(3)炊飯器の加熱方式に画期的な技術革新が起きた

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解答&解説コラム

 (2)が正解です。

 松下電器の電化事業本部が初めて自動炊飯器を製造、販売したのは、昭和31(1956)年12月のことでした。熱効率とご飯の味を重視し、熱板と鍋を密着させる直熱式を採用した画期的な製品でしたが、昭和33(1958)年の初めころから不良が続発、莫大な損失を出したのです。担当責任者は自殺しかねないほど悩み、従業員たちも強い不安を感じていました。
 そこへ「炊飯器部門を独立させて事業部にせよ」という幸之助の指示が下ります。それではさらに経費がかさむ、とても経営は成り立たないということで議論が交わされるなか、電化事業本部を訪れた幸之助は次のように説きました。

 

 「人間は失敗し、ときに自殺したくなる気持ちに追い込まれることもあるかもしれん。だがそんな境遇に立ったとき、もう二度と間違いを起こさない、なんとかして汚名をすすごうという大きな決意も生まれてくる。その決意を持てるかどうか。決意を持てる人であれば、必ず再起して成功することができる」

 

 こうして昭和33年9月、炊飯器事業部が誕生。全員一丸となって努力した結果、3年後には日本の炊飯器市場におけるシェアが5割に達し、業界第1位へと躍進したのです。