Q112:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
幸之助は「会社を興し、国を興すのは賢い人だが、会社をつぶし、国をつぶすのも賢い人である。両者の差は紙一重だ」と述べています。その差は何だと言っているでしょうか?
(1)決断が早いか遅いか
(2)運が良いか悪いか
(3)私心にとらわれているか否か
解答&解説コラム
(3)が正解です。
すべての仕事は天下の預かりものであり、公の立場に立って行わなければならない、というのが幸之助の信念でした。昭和51(1976)年5月、若手経営者に向けた講演で、「賢い人は会社を興し、国を興す。しかし同時に、賢い人は会社をつぶし、国をつぶす。だから賢い人は希望が持てるが、一面、非常に危険である。そして両者のあいだには、紙一枚の差もない」として、次のように訴えています。
「私が今まで使ってきたたくさんの人のなかには、しっかりしていて成功する人もいれば、しっかりしているのに失敗する人もいました。どこが違うのかを煎じつめていくと、結局、失敗する人には"私"というものがあり、成功する人には"私"がない。賢さは一緒である。しかしちょっと私心が入ると、非常に差が出てくるんです。一国の首相でも、会社の社長でも、私心があったらあきません」
続けて、とはいえ幸之助自身、「私心をもたないようにと、終始自分に言い聞かせているけれども、どうしても出てくるのです。それではいかんといって打ち砕くと、打ち砕いた次の瞬間にまた自分が出てくる。だから今、私は自分で葛藤しているんです。葛藤の日々ですな」と、率直な思いを吐露したのでした。