Q115:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
世界恐慌で不景気が続くさなか、自動車のセールスマンが幸之助に購入を勧めてきました。事業の規模も小さかった当時、幸之助はどうしたでしょうか?
(1)自動車を買えそうな知人を紹介した
(2)5年後に買うと約束した
(3)思い切って購入した
解答&解説コラム
(3)が正解です。
昭和5(1930)年、政府の緊縮政策の影響を受け、日本経済が不況沈滞の一途をたどるなかで、松下電器は順調な進展を続けていました。そんなとき、自動車のセールスマンが幸之助を訪ねてきます。
「この不景気で車が売れず困っています。どうか助けると思って1台買っていただけないでしょうか」
業績が伸びているとはいえ、松下電器は個人経営の町工場にすぎず、自動車はまだ持っていませんでした。当時、大阪の会社でも自動車を所有しているところは少なく、幸之助が高級車を購入するのは身分不相応に思われました。しかも、お金や物を使うことが反社会的行為であるかのような風潮のときです。しかし幸之助は、こう考え直します。
“経済を向上発展させるには、生産と消費を同時に高めていかなければならない。物を買える者が買ってこそ消費が喚起され、そしてまた生産も高まり繁栄につながるのだ。自動車を買ってほしいといってきているのは、いわば世間の要請であろう”
幸之助はその場で購入を決めました。セールスマンは大いに喜び、定価1万5000円のスチュードベーカーを5800円に負けてくれたといいます。