Q116:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

松下電器創業のころ、煉物(=電気器具に使われていた絶縁体)の製法は、どこの工場でも従業員には秘密とされていましたが、幸之助はあえて公開しました。その意図はどこにあったのでしょうか?

(1)煉物の技術を世に広めたい

(2)従業員との信頼関係を大切にしたい

(3)自分の煉物を他の人が真似できるか試したい

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解答&解説コラム

 (2)が正解です。

 幸之助が松下電器を創業した大正7(1918)年ごろ、ソケットやプラグの絶縁体はアスファルトや石綿、石粉などを調合してつくる煉物と呼ばれるものでできていました。その製法は企業秘密とされ、外部に漏れないよう各工場では主人の身内にしか知らされていませんでした。幸之助はそれを秘密にせず、入りたての従業員にも教えることにしたのです。幸之助のやり方は危険だと忠告する同業者に対し、幸之助は次のように説きました。

 

 「忠告はありがたいが、その仕事が秘密であることを話しておけば、人はみだりに裏切ったりはしないものだ。大切なのはお互いの信頼であり、私は従業員を信頼して製法を教えている。だから従業員もその信頼に応えて秘密を守り、また大いに頑張ってくれていると思う」

 

 実際、秘密を外に漏らした従業員はいなかったといいます。むしろ、重要な仕事を任されたことで皆が意欲的にいきいきと取り組み、工場全体の雰囲気が明るくなり、事業の伸展につながったのでした。