Q117:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

昭和30年代前半のこと。新しく設立されたある営業所の責任者が幸之助に、「自分の部署には役に立たない人が多くて困っている」と訴えました。これに対し、幸之助は何と言ったでしょうか?

(1)「きみは部下に対して心を開いていない」

(2)「事実をわしに教えてくれてありがとう」

(3)「松下電器に役に立たない人はおらん」

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解答&解説コラム

 (3)が正解です。

 昭和30年代前半、松下電器は順調に成長を続け、各地に事業所が増えつつある状況でした。そんな折、ある営業所長が幸之助に、「自分の部署はまだ新しく、いろいろなところから人をまわしてもらっていますが、なかなかいい人が来てくれません。役に立たない者ばかりで困っています」と打ち明けました。
 その言葉に、営業所長の労をねぎらいつつも、幸之助は次のようにくぎを刺しました。「松下電器の社員で役に立たない人はおらん。もともと、そんな人を採用しているつもりもない。社員を引き立てて、それぞれの能力が最大限発揮できるようにするのが責任者の役目やないか。新しい職場だからといって、来る人が皆よくない人だと決めつけてはいかん」。
 幸之助は、“人間はダイヤモンドの原石のようなもので、だれもが磨けば光る優れた素質を持っている”と考えていました。人を育て、生かすにあたっても、まずそうした人間の本質をよく認識し、一人ひとりの素質が生きるよう配慮していくことが大切だというのです。人間の無限の可能性を信じる姿勢が根底になければ、いくらよい人材を得たとしても、その人を真に生かすのはむずかしいということでしょう。