Q119:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
経理係に配属された新入社員が、今の額で10億円ほどに相当する現金を扱うことになったと、郷里の父親に手紙で知らせました。それを読んだ父親は不安に思い、幸之助に苦情の手紙を出します。幸之助からの返信には何と書かれていたでしょうか?
(1)子供の仕事内容に口出ししてはいけない
(2)息子さんを信じ、応援してあげてほしい
(3)息子さんはこの仕事に一番向いている
解答&解説コラム
(2)が正解です。
昭和12(1937)年、松下電器の新入社員が経理係に配属され、10万円以上の現金を扱うことになりました。今の金額でいえば10億円近くになる大金です。社員がこのことを自慢げに手紙で実家に報告したところ、心配になった父親は社長の幸之助に、苦情の手紙を送ります。「学校を出たばかりの若者にそんな大金を扱わせて、万一のことがあったら大事な息子の一生がダメになってしまう。もう少し様子を見て、使いものになるかどうか判断してからにしてほしい」というものでした。
これに対し、幸之助は次のような返事を書いたのです。 「親御さんの心配はよくわかります。けれども、本人は喜んで仕事をしています。ならばどこまでできるか、やらせてみましょう。息子さんを信頼し、激励してあげてください」
数年後、父親から幸之助とのあいだにそうしたやりとりがあったことを聞かされたこの社員は、“もうどんなことがあっても松下電器に骨を埋めよう”と決心したといいます。人に任せられることで発奮し、信頼に応えて大いに力を発揮してくれる。それは自らの経験を通して得た幸之助の確信でした。