Q121:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

昭和30年代初め、松下電器が有力連盟店を招き、感謝会を開催したときのこと。幸之助が登壇して挨拶を述べようとしたところ、突然、数人の出席者が緊急動議を提出し、会場が騒然となりました。会の終了後、幸之助は司会者に何と言ったでしょうか?

(1)「せっかくの感謝会が台無しだった」

(2)「想定外のことに備えておくことも重要だ」

(3)「中身のある、良い会だった」

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解答&解説コラム

 (3)が正解です。

 昭和30年代の初め、松下電器が有力連盟店を日比谷公会堂に招いて感謝大会を催したことがありました。東京と近郊の各地区から約2000名が参集、会場は1、2階とも満席となり大盛況でした。
 ところが、幸之助が挨拶のため登壇したとき、突如、緊急動議が提出されます。2階前列の数人が立ち上がって鉢巻をしめ、10本ほどの垂れ幕を一気に下ろすと、「業界の現状はこのように乱れている。これを収拾解決するのは松下電器、松下幸之助さん以外にはない。業界の安定と粛正に乗り出してほしい」と口々に叫んだのです。
 司会を務めていた松下電器の社員にも知らされていない、秘密裡に計画された行動でした。不意打ちのことながら、幸之助は一言も聞きもらすまいとするかのように壇上でじっと耳を傾けていました。そして、「電機業界の混乱は、メーカーの一員である松下電器にも責任があります。必ず皆さんのご期待にそうよう最善の努力をしましょう」と述べたのでした。

 会の終了後、この出来事について謝罪した司会者に対し、幸之助はこう言っています。 「きょうはほんとうに中身のある会やった。真実の声を聞くことができてよかった」