Q132:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
松下電器東京営業所の課長が、九州の小倉営業所へ所長として転勤することになりました。さまざまな不安を抱え、辞令交付に臨んだ課長に対し、幸之助は何と言葉をかけたでしょうか?
(1)「良いところへ行くね。きみは幸せだよ」
(2)「困っても困らないという心持が大切」
(3)「やっぱり辞令を取り消そう」
解答&解説コラム
(1)が正解です。昭和30(1955)年、東京営業所の無線課長が、九州の小倉営業所へ所長として転勤することになりました。働き盛りの35歳。栄転だったものの、課長には自分が営業所長としての重責を担えるのか、転勤先の経営状況が悪いこと、自分にとって九州が馴染みのない土地であることなど心配事がありました。
内心の不安を隠して辞令交付に臨んだ課長に、幸之助はこう言います。
「九州における松下電器の状況は、昔はものすごくよかったんだが、今はいうなれば最低の線だ。つまり、これ以上悪くなりようがないのだから、これからきみが何かをやればそのぶん必ず業績が上がる。やればやるだけ結果が出るというのは良いところへ行くね。きみは幸せだよ」
課長はその言葉に、“なるほど、そういう見方もあるのか”と目から鱗の落ちる思いがし、奮起しました。
後年課長はこの出来事を振り返り、「私はそのとき、松下さんに上手く励まされたのです。部下が10の能力を持っているのなら、やる気を引き出し12、13の能力を出させるという、経営者としてのコツを教わりました」と語っています。