Q134:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

松下電器のある社員が、二人のうち、信頼していたほうの上司に転勤命令が出たことに抗議しました。幸之助はその社員に「○○になるな。△△になれ」と忠告します。何と言ったでしょう?

(1)「武蔵になるな。龍馬になれ」
(2)「光秀になるな。秀吉になれ」
(3)「信長になるな。家康になれ」

矢印(下).png

解答&解説コラム

(2)が正解です。あるとき、松下電器の社員が、二人のうち、信頼していたほうの上司に転勤命令が出たことに抗議しました。若気の至りで、同志とはかり辞職願いを出したのです。大決心だったものの、本心では辞めたくなく、結局幸之助に謝ることで訴えを取り下げてもらいました。

 関係者が集められたとき、「たいへんご心配をおかけしました」と頭を下げる社員に、幸之助は間髪を容れず「何を言うか。きみたちはこれからも心配をかけるだろう」と応じました。そのひと言に、一同は安堵の胸をなで下ろしたのです。

 

 後日、幸之助はその社員を呼び、次のように忠告しました。
 「光秀になるなよ。上司の欠点にこだわり反抗していては、いくらきみが正しくても大成できない。残したほうの責任者は確かに欠点も多いけれど、ぼくは得がたい経営者だと思っている。秀吉のように、上司の良いところを見て対処しなさい」

 長年テレビやラジオの開発に携わったその社員は、「失敗のたびに松下さんから叱られ、いろいろ教えていただいた。どれも強烈な思い出である」と振り返っています。

 

 幸之助は五代自転車商会に奉公していた少年時代、店番の合間に『太閤記』や『猿飛佐助』などの講談本を好んで読み、多くの知識を得ていました。そうしたことから部下を指導する際にも、たびたび歴史上の人物になぞらえた表現を用いています。