Q136:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

幸之助は、ある課長を工場長に任命する際、「きみはどこの学校を出たのか。なぜその学校を出られたのか」と質問しました。その意図は何だったでしょうか?

(1)社員の得意分野が知りたかった
(2)工場長としての心構えを伝えたかった
(3)社員の生い立ちに興味があった

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解答&解説コラム

 (2)が正解です。昭和30年代半ば、幸之助は乾電池の資材課長を呼びました。最近の仕事のことについてひとしきり懇談したあと、突然話題を変えます。
 「きみ、学校はどこを出ているのや」
 「神戸高商を出ています」
 「なぜその学校を出ることができたんや」
 「……」

 

 答えに詰まる課長に対し、幸之助はこう語りました。
 「その学校は国が国民の税金で建てたのやろ。税金は、きみと同い年で、小学校を出てすぐに働いている人たちも納めている。きみは仕事を通じ、その人たちの数倍のお返しを国や社会にしなくてはいけない」
 そして、新しく課長を名古屋の工場長に任命したのです。

 

 幸之助は、満足に学校へ行けないながらも長年経営者としてやってきた自身の経験から、責任者となる課長に対し、さまざまな形で社会から恩恵を受けているのだと伝えたかったのではないでしょうか。それと同様に、企業は社会の公器であり、地元地域、環境との調和をはかりつつ、地域社会の向上発展に寄与していくことが、企業に課せられた大きな社会的責任であるとの考えから、その姿勢を正したのだとも言えましょう。