Q140:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

あるとき、松下電器九州営業所の所長が、その月の経営目標を達成し三日間の余裕ができたので、所員とともに旅行に出かけました。このことについて、幸之助はどのような評価をしたでしょうか?

(1)正常な経営者の行動ではない
(2)良い上下関係ができている
(3)しばらくは黒字が続くだろう
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解答&解説コラム

 (1)が正解です。昭和14、5年ころ、九州営業所長がある月に思い切った経営目標を立て、所員にこう呼びかけました。
 「今月の目標をなんとしても達成しよう。もし20日や半月で達成できたら、残りの日は遊ぼう」

 

 所長も所員もみな若く、昼も夜も休みなしで徹底的に仕事します。結果、見事目標を達成し、3日間の余裕ができました。早速全員で温泉旅行に出かけたのです。

 

 帰ってくると、幸之助から“正常な経営者の行動とは思われない。すぐ上阪せよ”との電報が届いていました。旅行のため営業所を3日間閉めることを、九州の得意先だけでなく、本社にも連絡していたのです。幸之助は、所長を叱責した上でこう教え諭しました。

 

 「一つの目標を持ってやることは良い。しかしそれを達成したら、さらにお得意先のためにどうすべきかと考えるのが経営者や。きみも一人前の経営者として育っていくためには、仕事そのものが楽しみになるよう努力しなければいけない。仕事を早く済ませて遊ぶということとは違う」

 

 はじめ、“やることをやって遊んだのだ”と考えていた営業所長も、このことから自分の認識不足を痛感しました。経営者としての姿勢、正しい公私のけじめについて学んだといいます。