Q141:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
昭和初期、松下電器の工場長を任された青年が、行き過ぎた指導をしたことで工員たちの造反にあいました。幸之助の自宅に呼ばれた青年は、幸之助のある問いかけから仕事のヒントを得ます。それは何でしょう?
(1)「ここへ来るのにどの道を通ってきた?」
(2)「どや、このごろ腹減らへんか?」
(3)「尊敬できる部下は何人おるか?」
解答&解説コラム
(1)が正解です。昭和初期、松下電器第5工場の新設にあたり、幸之助は23歳の青年を工場長に任命しました。青年は張り切って仕事に励むも、その熱心さゆえ部下を叱り飛ばし、年長者に手を上げるなどの指導をしたため、工員たちの造反にあいます。幸之助は青年を別の工場に異動させましたが、しばらくして異動先でも同様にトラブルを起こしました。幸之助はそのために工員たちを説得するなどして、二度も問題解決にあたったのです。
後日、幸之助は彼を西宮の自宅に呼びました。家は田園地帯の中に建っています。ふと幸之助は「ここへ来るのにどの道を通ってきた?」と尋ねました。田んぼをコの字型に迂回し、あぜ道をきたと説明する青年に、幸之助は諭します。
「それがほんとうの道や。きみの仕事ぶりを見ていると、まるであの泥田の中をまっすぐ突き抜けてくるようだ。それでは足や着物は汚れ、靴もいたんで歩みにくい。あぜ道を通るほうが、遠まわりでも結局早道やし、楽なんとちがうか」
青年は目からウロコの落ちる思いがし、それまでとにかく仕事一途で、従業員との対話が欠けていた自分の姿勢を反省しました。人を使うには、相手が納得し協力してくれるよう、急がば回れの行き方も大事だと学んだのです。