Q144:幸之助の言葉、「商品はわが○。お得意先はわが○○」。○○に入るのは?

(1)命・神様

(2)汗・道場

(3)娘・親戚

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解答&解説コラム

 (3)が正解です。物づくりになみなみならぬ情熱を注いでいた幸之助は、商品が売れていったあとのことについても、次のように語っています。

 

 「私どもが日々扱っている商品は、いうなれば、長いあいだ手塩にかけたわが娘です。だから、商品を買っていただくということはかわいい自分の娘を嫁にやるようなもので、そのお得意先と自分の店とは、新しく親戚になったことになります。嫁にやれば、娘がむこうの家族にかわいがられているかが絶えず気になるのと同じことで、商品についても十分にお役に立っているかが心配になります。“お客様が気に入って使ってくださっているだろうか”“故障していないだろうか”“近くまで来たついでに、ちょっとお寄りして様子をうかがってみよう”という気持ちが自然と湧き出てくるものです」

 

 このような心持ち、働きかけから、得意先やお客様とのあいだに、単なる商売を超えたより深い信頼関係が生まれてくるというのです。その根底には、商売を行ううえで、常に相手の立場、利益を尊重し、相手に喜ばれつつ、ともに栄えていくという共存共栄の発想があるといえるでしょう。

 

 幸之助が創業以来、折々に語ってきた商売に関する考え方をまとめ、昭和11年に発表された『商売戦術三十カ条』の第五条にも、「取引先は皆親類にせよ」とあります。ここでいう取引先とは、仕入先、得意先、需要者、株主や銀行、地域社会等すべての関係先のことであり、幸之助はそうした関係先をわが親戚、身内と感じるほどの思いに立って共存共栄していくことが、自らの事業、商売を発展させる唯一の道だと考えていたのです。