Q147:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
ソケットの材料であるベークライトの工場を松下電器がまだ持っていなかったころ。ベークライトもつくっているある電器会社から、経営不振なので買収してほしいという話が持ち込まれました。幸之助はどう対応したでしょうか?
(1)共同経営という形を提案した
(2)値切らず相場で買収した
(3)申し出をきっぱりと断った
解答&解説コラム
(2)が正解です。昭和初期、松下電器ではソケットを製造販売していたものの、その材料のベークライトはまだ手がけていませんでした。そんな折、ベークライトもつくっている電器会社から、事業に行き詰まったので経営を引き受けてくれないかという申し出を受けます。松下電器としては好都合でした。幸之助は話に応じて買収することを決断、早速具体的な交渉に入るよう部下に指示します。
そのとき幸之助は「安く買ってはいけない」と、値切らず相場で買うことを命じたのです。
「松下電器がベークライト工場をつくるとすれば、多くの資金をかけ、自ら研究し、開発しなければならない。ところが幸い、買収してほしいという話がきた。その工場は松下電器が必要とする、まさに値打ちのあるものだ。その値打ちで買おう」
取引の上では、買う立場からすると安ければ安いほどよいわけで値切りたいところであり、まして、その会社は倒産しかかっているのです。相当安く買ったとしても、相手も世間も納得するでしょう。しかしそれは経営者としてとるべき態度ではない。必要なものはその値打ちをそのまま認めて買うのが正しい行き方である、というのが幸之助の信念だったのです。