Q148:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

幸之助はかつて、「思いがけず天国を発見した」と語っています。それはいつ、どのような体験を通じてのことだったでしょうか?

(1)大阪電灯会社時代、真夏に劣悪な環境での配線工事を終えたとき

(2)創業間もないころ、自転車で配達中に車に跳ねられたとき

(3)昭和7年、ある宗教団体にて信者たちの奉仕する姿を見たとき

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解答&解説コラム

 (1)が正解です。幸之助が大阪電灯会社で配線工として働いていたときのこと。真夏のある日、電灯取付け工事のため天王寺の下寺町を訪れました。幸之助が担当するのは200年前に建られた古いお寺。本堂のすみの天井板をめくって屋根裏へ上がると、真っ暗な上、屋根からの熱気でむっとしており、歩くたびに足元にたまっている200年分の埃が煙のように舞い上がります。汗が流れ、息苦しい状態でした。幸之助は、"えらいことやな"と思いながらも作業にとりかかります。

 

 それでも、配線に興味を持っていた幸之助は、工事に没頭すると暑さも息苦しさもいっさい忘れてしまいました。1時間ほどで配線を終え、下へ降りた幸之助はその瞬間、思わぬ気分を味わいました。天井に入って出てきたというだけのことにもかかわらず、地獄界から天上界へ出たような、言うに言われない喜び、爽快さがあったのです。

 

 "さっきまで暑いと思えた地上が今は涼しく、天国のように感じられる。暑さ寒さに限ったことではない。人は何か困難や苦しいことがあっても、仕事に集中すればそれを忘れることができる。そして、やり終えたあとは非常に嬉しいものである"
この真夏の配線工事は、幸之助にとって忘れることのできない経験となりました。その後も、これに似た体験をするたびに気持ちを新たにしてきたといいます。