Q149:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

松下電器が工場で使う機械として独自に開発した部品自動挿入機を他メーカーに売るか否か、役員会で議論されたことがあります。その際、売るべきだと訴えた幸之助が発言した内容として間違っているものは?

(1)「この機械の性能は他メーカーには絶対真似できない」

(2)「他メーカーにも使ってもらい、批判してもらいたい」

(3)「松下電器はできた製品そのもので勝負すべきだ」

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解答&解説コラム

 (1)が間違っています。工場のオートメーションが発達し始めた昭和40年代、松下電器では生産技術研究所が開発した部品自動挿入機を、各工場で活用していました。やがて他社から、その機械を購入したいという要望が寄せられます。松下電器にとって、部品を納入しているお得意先であると同時に、電化製品の分野で日々競い合う同業者でした。

 

 独自に開発した機械を競争メーカーに売ることの是非について、社員たちは思い悩み、役員会でも議論されます。そのとき、幸之助は次のように説きました。

 

 「生産機械は確かに大切だが、松下電器はあくまでも、つくり上げた製品そのもので勝負すべきだ。それにこの機械を他社に使ってもらい、いろいろご意見、ご批判いただければ、さらに優れた製品が生み出されるだろう」

 

 これを聞いた社員たちは、外販に思い切って打ち込めるようになったといいます。その後、部品自動挿入機は『パナサート』の商品名で、国内外に広く販売されました。幸之助は商売において、「お互い、常に対立しつつも調和、協調するという精神により、適正な競争に徹することで、社会の進歩発展を実現できる」といった考え方を基本としていたのです。