Q154:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
昭和53(1978)年1月、幸之助は松下電器の幹部社員を対象に行なわれていたPHPゼミナールを訪れました。その際、幸之助が受講者へ伝えたこととして間違っているものは、次のうちどれでしょう?
(1)「自分自身の特色をつかまなければいけない」
(2)「本を読むなどして、歴史上の人物の勉強をしなさい」
(3)「ぼくの精神を今の時代、商売に適応させる必要がある」
解答&解説コラム
(2)が間違いです。あるとき、幸之助がPHPゼミナールにひょっこり顔を出しました。元々登壇する予定はなく、受講していた松下電器の幹部社員にとって、サプライズとなったのです。このゼミナールは、幸之助の経営理念と実践事例から、日々の仕事、経営の糧を得るのが目的でした。
幸之助は受講者へ次のように語ります。
「この研修で示されるのは、ぼくがこれまでこうしてきたという一つの考え方、精神やな。けど今は時代も変わっているから、その精神を現在の世相、商売の状況に合わせて、自分なりに実践していかなければならない。そやないと"本読み"で終わってしまう。ゼミナールを受けて、"なるほど"と感ずるところがあれば、それに自分の個性や持ち味を生かしていく。その生かし方がまずいと、いくら力があってもあかん。まずは自分の特色をつかむ、自分自身を発見することやで」
幸之助はみずからの人間観として、常に「人にはおのおの、生来違った天分、特質が与えられている」と述べていました。だからこそ、何かを学ぶ上でも、自分の個性に見合った実践をするよう助言したのではないでしょうか。