Q155:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

昭和40(1965)年、松下電器は新販売制度を導入すべく全国の販売店に理解と協力を求めていました。しかし、制度開始間近になってもまだ一人、四国に反対者がいたのです。幸之助はどのように対処したのでしょうか?

(1)反対者の意向に沿うよう制度の内容を見直した

(2)四国の営業所長に直接説得に行くよう促した

(3)反対者との提携を解消するよう指示した

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解答&解説コラム

 (2)が正解です。昭和39(1964)年、電機業界はもとより、日本の各業界は深刻な不況に直面していました。松下電器は、販売会社・代理店社長懇談会(通称熱海会談)をきっかけに、新しい販売制度の実施を決めます。

 

 新制度をスタートする間近、四国の営業所長のもとに、本社の営業本部長から電話が入りました。

 

 「四国のご販売店にお一人、猛烈に反対されている方がおるやないか」

 

 四国の営業所長は、「まあ、そういう方もいますけど、そのうち解決するでしょう」とあまり問題視していません。すると、急に営業本部長に代わり幸之助が電話口に出ました。

 

 「これは社運を賭けた重要な仕事であり、一人でも反対があればやってはならない。先方によく話して、わかっていただけるまではやらないという気持ちでやってほしい」

 

 得心した営業所長は早速反対者の元へ向かいました。

 

 苦情の訴えに対し、すぐに営業所長を差し向けた幸之助と、遅い時間にもかかわらず出向いていった営業所長の熱意が伝わります。その後3回の懇談を経て、猛烈な反対者は頼もしい協力者に変わりました。幸之助は、「たとえ困難に直面しても、誠意を保持して努力を続けていけば、善意の説得力が生まれ、困難も困難でなくなる」と述べています。