Q17:この幸之助の言葉の○○に当てはまるのは?

「人間には、本来、○○があってはならない」

 (1)欲望

 (2)悩み

 (3)憎悪

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解答&解説コラム

 (2)の「悩み」が正解です。“それはおかしい。悩みがあるから人間ではないか”と思われるかもしれません。実際、幸之助も、人生は悩みの連続であり、悩みがあるから人生に味わいがあるとして、悩みに負けず、十分に味わい、噛みしめることで、悩みは自らの向上の資となると考えました。したがって悩みを抱えることはけっして不幸ではないともいっています。


 けれども現実には、悩みが多くの人の心を暗くし、繁栄を妨げ、平和を乱し、幸福に背くものになっていることに幸之助は目を向けました。そして「限りない繁栄、平和、幸福が本来与えられている」人間に「悩み」があってはいけない、悩みは「本質的」には与えられていないものと断じるべきだと説くようになったのです。


 こうした見方について、幸之助は「自動車」を例に説いています。自動車は本来「故障がないようにつくられているはずであると考えますならば、故障のないはずの自動車になぜ、故障が起こるのかと、根本的に考えを進めるようになります。そして結局、それはつくり方が悪いのか使用のしかたが悪いのか、どちらかであることが分かって、この点に対する根本的な改良が進められ、その結果、しだいに故障が少なくなっていくようになる」。「悩みがあるか、ないかという問題も、これと同じ」であり、だから「本来、悩みがあってはならない」という考え方をもちたいというのです。


 太平洋戦争終戦後の日本の惨状のなかに身をおいて、幸之助がはじめたPHP研究。その研究姿勢には、このように従来の通念を改革しようとする気概が貫かれていました。