Q170:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

松下幸之助は、ある市場が縮小しているにもかかわらず、参入してしまい、10年以上黒字を出せなかったことがありました。その市場の商品とは何でしょうか?

(1)自転車

(2)モーター

(3)ミシン

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解答&解説コラム

(1)が正解です。

 松下幸之助は少年のころ、五代自転車商会に丁稚として奉公しました。戦後、昭和27(1952)年、「ナショナル」の商号を持つ自転車店から、商号を会社ごと買わないかと話をもちかけられます。縁のある自転車を製造するなら、「ナショナル」のブランドで行ないたいと考えていた幸之助は、この誘いを受け、松下電器は自転車事業に参入しました。

 ところがほとんど同じタイミングで、ホンダのオートバイ「スーパーカブ」が発売されます。新聞配達や郵便配達に使われる自転車が次々と「スーパーカブ」に代わっていく情勢で、自転車市場は急激に縮小。松下電器は、さらに銀行から赤字の自転車会社の経営を2社も任されたため、自転車事業で10年以上黒字が出せませんでした。

 しかし昭和40年以降になると、自転車はレジャー用としての用途が拡大し、自転車そのものの改良も進んで、次第に安定販売ができるようになりました。幸之助は「たとえ時代に取り残されているように見える事業であっても、それはそれとして処していく道があるものだ」と語っています。

 やがて電動アシスト自転車が開発され、自転車事業を引き継いでいる現在のパナソニック サイクルテック株式会社は、国内シェア・ナンバーワンとなっています。