Q26:幸之助は「文化国家」の条件として3つを挙げました。その1番目、○○に当てはまるのは?
「人々に○○が与えられていること」
(1)自由
(2)住居
(3)資産
解答&解説コラム
(1)の「自由」が正解です。終戦直後に開始したPHP研究の成果をまとめ、1953年に刊行された『PHPのことば』で、幸之助は「芸術が発達している、経済活動が活発である、政治がスムーズにいっている」というのが当時の文化国家という理念に対する一般的な理解であり、「やや漠然としている」と評しています。そして、PHP的な観点から、より具体的な定義づけをしようとして、3つの条件を提示したのです。
その第1条件「人々に自由が与えられていること」を補足して、幸之助は「文化国家であれば、人々に自由が与えられ、法律などで束縛されることが少なく、のびのびとして働くことができる」ようでなければいけないと説いています。この理想を実現する真の文化国家の建設を幸之助は強く望み、PHP研究所の活動を通じ、世の中に、終始一貫して訴え続けました。
1945年8月16日、日本人がラジオから流れる終戦の詔勅を聞いた翌日のことです。幸之助は直ちに軍需生産から民需生産へ転換する方針を発表、国家の再建に寄与する決意を松下電器の従業員に表明しました。にもかかわらず、まもなくGHQから経営活動を制限され、自由を奪われてしまいます。そうしたなかでPHP研究所を創設、理想国家の実現に向けて、PHP研究を開始するにあたり、「第1次研究10目標」を掲げます。目標の第2項「自由で明るい働きを」には「徒に煩瑣な組織や法令の力を以て人々を動かそうとしてもうまくいかないことはすでに試験ずみである。飽く迄も人間性に徹し、人々のもつ智情意の働きを自由闊達に伸ばし、よろこびと感激とを以て働き、日々の暮らしを愉しむような方策があることを確信し、之が具体策を急速に考究したい」と補述されており、幸之助の自由への希求が見てとれます。
それから27年の時を経て、PHP研究の集大成を企図した著書『人間を考える』においても、真の文化国家の建設に欠かせない第1条件として、やはり「自由」が挙げられています。