Q33:幸之助が「素直な心」の効用として挙げた10カ条のうち、10番目の○○に当てはまるのは?
「○○が少なくなる」
(1)病気
(2)不幸
(3)負債
解答&解説コラム
(1)の「病気」が正解です。その理由について幸之助はこういいます。素直な心になることで人は物事の実相、物の道理がわかり、様々な悩みにいたずらに心を煩わすといったことがなくなる。したがって自身の心・精神からくる病気を少なくすることができる。また不規則・不摂生な生活、暴飲暴食等を避け、病気の予防に気を使うであろうし、万が一病気にかかっても、素直な心で病状をよくつかみ、医者の指示を理解し、その治療効果を高める努力をするようになる――。つまり素直な心が高まれば、病気になりにくくなり、なったとしても比較的治りやすいと考えたわけです。
幸之助は生来蒲柳の質で、若い頃には肺尖カタルにかかり、吐血して、死を意識せざるを得ない時期を経るなど、みずからの不健康とつきあいながら生きる人生を余儀なくされました。そうした幸之助の道程に照らしても、素直な心になれば「病気が少なくなる」という言葉は滋味に富んだものといえるでしょう。
ただ、いま少しこの言葉の本意に迫ってみると、「人間には本来健康が与えられている」という幸之助の健康観に行きつきます。「健康と頑強は必ずしも同意義ではな」く、「蒲柳の質のままで一生健康な人もいる」。すなわち生まれつき頑健な人もあればそうでない人もあるけれども、みずからの資質を自覚し、それに順応していくことが、その人にとって健康な生活態度だ幸之助は考えていました。そのように自分に与えられた資質を認め、受け入れて、健康の保持をはかるうえで必要なのが素直な心だというのです。
ちなみに「病気が少なくなる」以外の「素直な心」の効用として、幸之助は「なすべきをなす」「思い通りになる」「こだわらない」「日に新た」「禍を転じて福となす」「つつしむ」「和やかな姿」「正邪の区別」「適材適所の実現」を挙げています。