Q36:○○に当てはまる幸之助の言葉はどれでしょう?

「人間は万物の○○」

 (1)王者

 (2)覇者

 (3)霊長

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解答&解説コラム

 (1)の「王者」が正解です。この表現は、幸之助の著作『人間を考える』(1972年刊)のなかで明示された「新しい人間観の提唱」文に記されています。そこに示された「人間は万物の王者として、万物を支配活用することができる」という人間観は、一見、傲慢な印象を与える表現かもしれません。しかし幸之助のいう王者の支配とは、人間がみずからの意欲をほしいままにして好き勝手にやるといったことではなく、生成発展という自然の理法に従いつつ、万物一切を導き生かす崇高な責務に徹するという意味合いをもつものでした。


 この「新しい人間観の提唱」文の原型を、幸之助が1951年に発表した「PHPのことば その38 人間の天命」にみることができます。そこでは「人間宣言」と題し、幸之助が戦後に始めたPHP研究の過程でたどり着いた人間観が明文化されました。けれども幸之助はその後も、“人間とは何か”を究めたいという信念を持ち続け、思索を深めた末、21年後に「新しい人間観」を提唱するに至ったのです。


 幸之助は、「新しい人間観」を提唱した翌1973年、松下電器の経営方針発表で、従業員に向けて次のように述べています。『人間を考える』は「私がつくったものではありません」。「私の心で書いているのでなく、人間が歩んできた実績というものを素直に勘案いたしまして、たぶんこうであろうということを書いたにすぎない」のであり、「われわれの祖先と申しますか、数億年の人間生活の実績の集積だと思っています」と。その上で、人間は王者であるという意識に立って価値判断することができるようになるには、この本を1万回読まねばならない。1日1回読むと、30年かかる。いまからだと私は死んでしまうが、若い皆さんはいつの日か、人間は王者であるというような意識に立つことができるはずだと訴えたのです。