Q38:○○に当てはまる幸之助の言葉はどれでしょう?

「人間道は容認と処遇と○の3つの柱によって成り立つ」

 (1)義

 (2)信

 (3)礼

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解答&解説コラム

 (3)の「礼」が正解です。容認と処遇という2本柱に加え、幸之助は「礼の精神」、すなわち一切のものに対して感謝と喜びの念をもち、それを素直にあらわしていく心の必要性を挙げ、人間道の3本目の柱に位置づけました。宗教でいうところの慈悲、愛、謙虚さ、寛容の心などに通じるものだとも述べています。


 この礼の精神に対する考え方は、幸之助が戦後に始めたPHP研究のなかで輪郭が形成されました。礼とは人間に与えられた特権である。今日の礼が、もし完全無欠のものであれば、人間生活はもっと、繁栄、幸福、平和を享受していることだろう。礼の精神を究め、ともどもに実践しあうことで、人間生活に完全なる秩序をもたらし、より豊かで住みよい社会を実現したい――。


 そう考えた幸之助は、孔子をはじめとする多くの先賢たちが説いてきた礼が、今日の日本人の作法なり生活態度なりを形づくってきたことに十分に敬意を払いつつ、その上に立って、真の礼のあり方を見いだそうとします。そして、礼には第一の礼(宇宙根源の力に対する礼)、第二の礼(お互い人間同士に対する礼)、第三の礼(物や自然に対する礼)という3つがあると説くようになりました。


 幸之助はこの時期に芽生えた礼に対する考えをその後も深め、やがて自らが提唱する人間道の3本柱に据えたのです。礼は、PHPが求めるところの繁栄、平和、幸福を実現するための基盤となるものであり、人間道における容認・処遇を支え、その働きをスムーズにする“潤滑油”である――。長年の思索のなかで幸之助が得た結論です。