Q98:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
戦後まもないころ、ある講話をしたあとの質疑で「石炭が足りませんが、どうすべきでしょうか」という質問を受けたとき、幸之助はどのように答えたでしょうか?
(1)「石炭に代わるものを求めるべきだ」
(2)「鉱夫を増やすべきだ」
(3)「石炭の声を聞くべきだ」
解答&解説コラム
(3)が正解です。
終戦後、幸之助は世と人の繁栄、平和、幸福の実現を願ってPHP研究所を設立し、さまざまな場所に出向いて自らの思いを訴えてまわりました。裁判所で50人ほどの判事を前に話をしたときのこと。「今、石炭が足りないと騒がれています。どうすべきだと思いますか」という質問に対し、幸之助は「まず石炭に聞いてみることですね」と答えます。「まじめな話をしてください」と憤る質問者に、さらに次のように説明しました。
「日本は石炭がないと国家を再建できない状態なのに、政府は『石炭は大事だから増産せよ』と言う一方で、価格をできるだけ安く抑えようとしています。これは労働者に『大いに働きなさい、ただし賃金は下げます』と言っているようなものです。石炭がものを言うと仮定して、なぜ出ないのかと聞いてみたら、『今の状況ではとても出ていく気にはなれない』と答えるでしょう」
幸之助は、必要不可欠で価値のあるものなら、それに見合う適切な処遇をすべきだと訴えたのです。幸之助の主張に、判事たちも得心がいった表情を見せたのでした。