100年、200年の長期計画で、有効可住面積が29パーセントに過ぎない日本の国土を創成しよう。世界の一等地日本の国土をひろげない手はない。
『新国土創成論』
発表媒体
単行本(1976年6月発行)
あとがき
以上、国土創成ということについて、私なりの考えをのべてまいりました。非常に大まかな構想のみをしるしたものであり、専門的な立場からすれば、多々問題があろうかと思いますが、将来の日本を考え、今日の日本の国是国訓というものを考える上で一つの資にもなろうかと思い、あえてこうした問題をとりあげたしだいです。
この国土創成を実際に行なおうとすれば、非常な大事業となるものであり、したがって軽々にこれを行なうことはできないと思います。しかし、時期の問題は別として、日本の国としては、これはいつの日にかはどうしても踏まなくてはならない過程ではないかという気がするのです。
そういう意味において、こうした国土創成の事業について、一人ひとりがとらわれない心で一度検討していただけたらと思います。そうするとそこから、必ず、これはぜひともやらなくてはならない、ということが心のうちに浮かんでくるのではないでしょうか。そういうところから、一大困難だと思われるようなことに対しても、みんなが非常な歓喜に満ちてとりくむというような結果が招来されるのではないかと思います。また、そういう一人ひとりの積極的な参加のもとに、各方面の知恵をあつめてそこに画期的な国土創成の具体的なプランを策定していかなければならないと思うのです。
実は、こうした私の考えの一端が、たまたま昨年十月に新聞に紹介されたことがありました。そしてそれに対して多くの方からお手紙をいただいたのですが、その中にはすでにこのようなことを考えたり、研究しておられるという方も少なからずあったのです。相当にくわしく構想をたてられ、貴重な資料をお送りいただいた方がたもおられました。
そのように、多くの方がたがこうした国土創成について、自分なりにすでに考えられ、あるいは研究を進めておられることに、私は非常な心づよさを覚えたしだいです。
いずれにいたしましても、本書をお読みいただき、それぞれにお考え願うとともに、ご意見、ご感想を賜わればまことに幸いです。