Q108:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

ある経営者が松下政経塾で講義をしたときのこと。塾生とともに聴講した幸之助は、みずからも続いて講義をする予定になっていたのを急遽取りやめました。なぜでしょうか?

(1)経営者の講義と自分の話が重なっていたから

(2)経営者の講義をすばらしいと感じたから

(3)すぐれた講義のあとは、塾外での実践が必要と思ったから

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解答&解説コラム

 (2)が正解です。

 ある経営者が松下政経塾で、経営をテーマにシリーズで講義をしたことがありました。何度目かの講義の日、たまたま引き続き講義を行う予定になっていた幸之助が、自分も聴講するといって席についたのです。幸之助の前で経営について語るのはおそれ多いと感じた経営者は、そのとき研究していた『国際社会の動向のなかから日本は何を学ぶべきか』というテーマに変更して講義をしました。
 終了後、幸之助は塾生に向けてこう語りかけます。

 

 「教えられることの多い、ほんとうにいいお話だった。こんなすばらしい問題提起はない。私はこのあと講義をするつもりでいたが、やめましょう。その分きみたちは、今の先生の話を静かに玩味してほしい。私もじっくり考えてみたい」

 

 この言葉を聞いた経営者は、“ああ、話をしてよかった。この人のためならどんなお手伝いでもしよう”と心からの感動を覚えたといいます。