Q111:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?
昭和58(1983)年4月、世界中から集まった若手経営者の前で講演したときのこと。講演後の質疑応答で「ビジネスマンのもっとも重要な責務は何ですか」という質問に対し、幸之助は何と答えたでしょうか?
(1)なんとしても利益をあげること
(2)みんなに愛されること
(3)世界の情勢に目を向けること
解答&解説コラム
(2)が正解です。
昭和58(1983)年4月、世界各国の若手経営者が東京に集まり、YPO(Young Presidents’ Organization)の世界大会が開催されました。88歳の高齢にもかかわらず講演を引き受けた幸之助は、みずからの経営哲学を述べるとともに、その根底にある人間観を披露しました。その後の質疑応答で「ビジネスマンにとって、もっとも重要な責務は何でしょうか」と質問され、次のように答えています。
「簡単にいうと、みんなに愛されることですね。『あの人がやってはるのやったらいいな、物を買うてあげよう』というふうにならないといかんですよ。そのためには奉仕の精神がいちばん大事です。奉仕の精神がなかったら、あそこで買うてあげようという気が起こらない。そうですから、ビジネスマンのいちばん大事な務めは愛されること、愛されるような仕事をすることです」
「愛されること」とは、言い換えれば自分のファンになってもらうこと。いかなるビジネスも、お客様や仕入れ先といったさまざまな人との関係の上に成り立っている。そうした人たちとのご縁に感謝し、喜んでいただけるよう徹底して奉仕をする姿勢が何より大切だと、幸之助は長年の事業体験によって確信していたのでしょう。