Q151:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

幸之助がトヨタ自動車で講演を行なったとき、松下電器名古屋特機営業所長が同行しました。トヨタへ向かう車の中、幸之助は営業所長を叱責します。その理由は何だったでしょうか?

(1)営業所の業績について即答できなかった

(2)トヨタ自動車の実態を十分に把握していなかった

(3)ナショナルの看板の汚れを見過ごしていた

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解答&解説コラム

 (3)が正解です。あるとき、幸之助はトヨタ自動車から講演を依頼され、名古屋特機営業所長に駅で出迎えられました。当時名古屋は建設中の建物が多く、トヨタ自動車本社までの車中、幸之助はその一つ一つに、「あそこには何が建つのか。松下の電設資材はどれだけ納めさせてもらえるか」と営業所長に尋ねます。

 

 さらに車が進むと、広々とした畑の中に『テレビはナショナル』と書かれた広告塔が立っていました。

 

 「あの看板はだいぶ剥げているな。金を払って公害をまき散らしているようなもんや。なんで直さんのや」

 

 「いや、あれは本社の宣伝部の管轄ですので......」

 

 「きみはトヨタさんへ週2回訪問していて、往復4回も見ている。気づいとったら、なぜそれを担当者に言うて直させんのや。それでも松下の人間か!」

 

 幸之助は翌日、本社の宣伝部に「同じ看板でも潮風や日光のあたるところとそうでないところでは破損状態が違う」と指摘します。これを機に、野立て看板の保守メンテナンスは外部業者に委託することになりました。

 

 営業所長は後年、「私どもの取るに足らない話でも真剣に聞き、こちらの気づかない点まで心を砕いてくださる。叱るときは全力で叱る。こうした松下創業者の姿には非常に心打たれ、実践の上で教えられることが多かった」と述べています。