Q161:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

昭和48(1973)年7月、松下電器の取締役会で幸之助は突然あることを発表しました。それが国内外に広く報道され、社会から注目されたのです。どういった内容だったでしょう?

(1)ニューヨーク証券取引所への株式上場

(2)会長職の辞任

(3)製造事業本部の廃止

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解答&解説コラム

 (2)が正解です。松下電器創業55周年にあたる昭和48年の7月19日、取締役会で幸之助は会長を退任し相談役に就任すると発表しました。合わせて、髙橋荒太郎会長、松下正治社長はじめ役員の新体制が明らかにされたのです。続けて幸之助は、"社会のすべての人々を師表と仰ぎ、大事なお得意と考え、常に礼節を重んじ、謙虚な態度で接すること"など、6項目にわたる『会長、社長ならびに現業重役諸氏への要望事項』という通達を出しました。

 

 その日の記者会見の席で幸之助は次のように語っています。

 

 「私も数え年で80歳、今が潮時です。やるべきことはすべてやりました。55年というと相当長い期間ですが、もともと病気がちだった私が、ここまで無事務められたことは大変ありがたいことです。『われながらよくやった』と自分の頭をなでてやりたい気持ちです」

 

 この会長辞任の発表は、国内外に広く報道され話題となりました。

 

 その後、松下電器社内では本社講堂に幹部が招集され、幸之助が退任の挨拶を行ないました。その内容は、事業を始めてからの日々を振り返りつつ、「経営者は衆知を集め、世間の声なき声を聞き取ってこそ信頼され、成功できるのだ」と改めて訴えるものでした。