Q22:○○に当てはまる幸之助の言葉は?

「不景気は○○現象ではない」

 (1)天然

 (2)人為

 (3)超常

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解答&解説コラム

 (1)の「天然」が正解です。1977年のある講演で、幸之助は「不景気は絶対ないのです。それは人間がつくっとるわけです。不景気は天然現象やないですよ。大昔は不景気は天然現象によって、穀物がとれんとか農作物ができんとかいうことでありましたけれど、いまはそういう自然現象を人知によって多少セーブすることができますから、不景気とか不況とかは本質的にはありえないんです。それがありうるのは、みなお互いにつくっているんです。繁栄はあっても不況はない、好況があっても不況はないというのが私の信念です」と語っています。


 「不況をつくるのは人間の心」という信念をもっていた幸之助は、1970年代後半から80年代前半、ガルブレイス教授の「不確実性の時代」が世間に流布したときにも独自の見解を示しました。教授の分析を「まことに言い得て妙」と評しつつも、その言葉に甘えて、日本の経済・政治がなすすべもなく低迷・停滞し続けることは断じて許されないという思いから、月刊誌『Voice』1981年2月号で「お互い、基本的には未来は“確実性の時代”だと考えなければならない。そういうように発想を転換し、積極的、生産的にものごとを考えて」いくことが今後の日本人に求められていると説いたのです。


 景気・不景気というものをさも天然現象であるかのように考え、経済を「不確実」たらしめているのは人間自身である。景気・不景気とは本来人為現象であり、社会の安定・繁栄は「確実」に招来できる。その真理をはっきりと認識した上で適時適切な行動をとっていくことが不景気にいたらしめないために必要とされる――。こうした幸之助の主張はいまの人々の心にも十分に届くものだといえましょう。