Q4:この幸之助の言葉の○○に当てはまるのは?

「感謝と○○○を知らないものは人間ではない」

 (1)羞恥心

 (2)お辞儀

 (3)こわさ

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解答&解説コラム

 (3)の「こわさ」が正解です。人間は、周囲の人びとから直接間接に助けられ、物や環境、あるいは祖先、神仏、自然がもたらす恵みのもとに日常の暮らしを保つことができている。その限りない恩恵に深い感謝の心を捧げるのが人間の道であると幸之助は考えました。そして同時に「こわさ」を感じることも人間として必要なことだと言ったのです。


 もちろんその「こわさ」とは、臆病ゆえに感じる「こわさ」ではありません。誰しも、人の道を踏み外さないよう、自分で自分を律し続けることは非常に難しいものです。ところが、子は親がこわい、生徒は先生がこわい、選手は監督がこわいというように、「こわさ」を感じる存在を持つことで、自然と慎み深さが生まれ、身を正すようになる。そうした謙虚な態度に通じる「こわさ」の大切さを説いたのです。


 では幸之助にとって、「こわさ」を感じさせる存在とはどのようなものだったのでしょうか。その一つが、世間だったといえます。自分を育ててくれた世間に大いに感謝し、事業を通じて報恩する。その産業報国の精神は、松下電器(現パナソニック)全社員の指導理念となりました。そしてのちに、「世間は正しい」と言うようになったのも、「こわさ」を感じる世間が、自らを正しい方向へ導いてくれる存在であると悟ったからにちがいありません。