Q58:幸之助の以下のエピソードで当てはまるものは?

金融がひっ迫した不況期のこと。ある経営者の友人が幸之助を訪ねてきて、5千万円貸してほしいと頼みました。売掛金の回収が進まず、困っているというのです。幸之助はどのように対応したでしょうか?

(1)快く了承し、お金を貸した

(2)銀行へ行き、その会社へ融資をするように頼んだ

(3)借金の依頼を断った

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解答&解説コラム

 (3)が正解です。

 その友人は売掛金の回収がうまくいかず、2億5千万円の債権を抱えていました。ある程度は銀行から借りたものの、それ以上の金額は断られてしまった、不景気のおり、得意先に対して例月以上の集金をするのも気が引けるといいます。

 

 幸之助は友人に向かって、こう言いました。「銀行でもダメだというものを、ぼくが貸すことはできない。得意先に話して支払いを求めれば、5千万円くらい集金できるはずだ。そもそも売掛金は貸し金なのだから、先方には払う義務がある。貸し金を取り立てず、新たに借金するというのは商道に反しており、きみの会社の信用を落とすことにもなるのではないか」。

 

 後日、この友人が幸之助に礼を言いにきました。得意先にありのままを話した結果、大いに同情され、5千万円を集めるつもりが7千万円も集金できたというのです。「これまで集金をルーズにしてきたが、これからは真剣に、きっちりとした商売を心がけていきたい。ありがとう」。幸之助は借金の依頼を断って、逆に感謝されたのでした。