欠点も長所も――人間とはなにか〈10〉
千人が千人、万人が万人とも、欠点も長所もある。その欠点も長所もみとめて生かすというところに自由主義があると思います。それを消してしまって一つの型にはめてしまう、ということはも
相手の本意を知るには――いまを生きる、これからを生きる〈10〉
他人の後ろ姿だけ見て顔が美しいかどうか見分けることはできないし、顔だけ見て相手の心の本意を察することもむずかしい。常に互いに表情を交わしあい、隔てなく話しあってこそ、理解を深
自分を愛するごとく住む世界を愛する――これからの日本人へ〈10〉
人間は、だれでも自分を愛さない者はないわけです。それと同じように、自分がかわいければ自分の住む町がやはりかわいい、さらに進んでは自分の住む国がかわいい、ということに通じる考え
損して得取れ――真の商売、真の経営とは〈9〉
私ども子どもの時分によく親方から教えられたのは、商売人というものは、“損して得取れ”ということです。これは少し旧式な話でありますけれども、損して得取れ
金には人の労役が――仕事において大切なこと〈9〉
金というものは、五十円なら五十円の貨幣であれば、その中にあらゆる人の労役というものが入っていると思うんです。五十円というものは、人々の苦心の働きである。その働きを表現している
人間道とは――人間とはなにか〈9〉
人間には、万物の王者としての偉大な天命がある。かかる天命の自覚に立っていっさいのものを支配活用しつつ、よりよき共同生活を生み出す道が、すなわち人間道である。人間道は、人間をし
感謝とこわさ――いまを生きる、これからを生きる〈9〉
感謝とこわさを知らぬ者は、人間にあらずして、いわば動物と同じである。個人でも、団体でも、感謝とこわさを知らないと、必ず自己の力を過信し、ついには暴力や権力に頼るようになる。た
教育がゆきとどいた国とは――これからの日本人へ〈9〉
ある教育家が、この国ほど教育のゆきとどいている国はどこにもないと話されていましたが、なるほど、わが国に自分の姓名を書くことのできない人はほとんどいないといってよいくらいであり
指導者としての織田信長――真の商売、真の経営とは〈8〉
たとえば織田信長という人は、ずいぶんワンマン的な大将だったようですが、その信長でも、やはりつねに軍議なり評定というものをやっています。桶狭間の合戦のような非常の場合でも、結果
観念をする――仕事において大切なこと〈8〉
“観念をする”――こういう度胸というようなものが、インテリといわれる人にはなかなか少ないようです。頭が少しできているから計算する、打算的になるというわ
鉄のかたまりは1つになるが......――人間とはなにか〈8〉
みんなが一つのものであれば、一つになってしまいます。三つの鉄のかたまりを溶解してやれば一つの鉄のかたまりになってしまいます。それは同じものだからそうなるのです。けれども、人間
流れる水は腐らない――いまを生きる、これからを生きる〈8〉
ことわざに、「流れる水は腐らない」というのがある。また、「淀む水に芥(あくた)たまる」ともいう。これらの言葉は、何ごとにつけ常に流動、活動しているものには、沈滞とか腐敗といっ